「最近の中学生、プール授業がなくなってるって本当?」そんな声が聞こえてきそうなニュースが話題になっています。
中学のプール授業が一部地域で廃止されているんです。
とくに注目されているのが、岩手県滝沢市。
ここでは2024年度から、すべての中学校で水泳の実技をやめるという思い切った決断がされました。
背景には、ジェンダーの配慮や、思春期ならではの「見られたくない」「水着になりたくない」といった生徒のリアルな声があります。
この記事では、どこの地域でプール授業が廃止されているのか、なぜそのような判断がされたのか、小学校への影響、代わりの授業内容などをわかりやすくまとめています。
もくじ
中学プール授業廃止は全国で実施されているの?
中学校のプール授業が一部地域で廃止されているというニュース、気になっている方も多いのではないでしょうか。
特に「どこの県で実施されているのか」は、保護者や教育関係者にとって重要な情報ですよね。
ここからは、実際に廃止が決定された地域や、全国的な動きについて詳しく見ていきましょう。
実際に授業を廃止したのは岩手県滝沢市
中学のプール授業を実際に廃止した自治体として、最も注目されているのが岩手県滝沢市です。
滝沢市では、2024年度から市内の公立中学校全6校で水泳の実技授業を完全に廃止しました。
これは全国的にも先進的な事例であり、多くのメディアに取り上げられています。
その背景には、ジェンダーへの配慮や生徒の羞恥心への対応が大きく関係しています。
NPO法人のアンケートでは、「体型を見られたくない」「水着姿が恥ずかしい」といった声が多く寄せられており、生理を理由にプールを欠席する女子生徒も少なくありませんでした。
実際、ある中学校では2023年度のプール授業で36%もの生徒が欠席していたというデータもあり、学校側としても授業の実施そのものが困難になっていたことが分かります。
こうした声や状況を受けて、滝沢市は水泳の実技ではなく、水難事故を防ぐための座学中心の授業へと方針転換を行いました。
このように、滝沢市の判断は単なる授業内容の変更ではなく、時代に合わせた教育の在り方を模索した結果といえます。
次は、他の自治体でも同じような動きが広がっているのかを詳しく見ていきますね。
他にも廃止や縮小を検討している自治体はある?
岩手県滝沢市のようにプール授業を完全に廃止したケースはまだ少数派ですが、他の地域でも同様の流れが少しずつ広がり始めています。
例えば、プールの老朽化により修繕費用が膨大になっている自治体では、プール設備の維持そのものが困難になっており、「今後は民間のスイミングスクールを活用する案」や「水泳の授業を縮小する方向」で検討が進んでいるようです。
また、都内や都市部の中学校では、施設はあっても利用頻度が極端に少なくなっていたり、夏休み期間中に授業を一時的に集約して行うスタイルに変えていたりと、現場ごとの対応に揺らぎが見えています。
生徒からの声や保護者の反応もそれぞれ異なるため、一律での判断は難しいのが現状ですが、滝沢市のような決断が“前例”として他の自治体に影響を与える可能性は大いにありそうです。
今後数年で、同じような理由から水泳授業の見直しを進める自治体が出てくることは十分に考えられますね。
次は、滝沢市がプール授業廃止に至った理由について、より深く掘り下げていきます。
岩手県滝沢市が中学プール授業をやめた理由とは?
岩手県滝沢市が全国に先駆けて中学のプール授業を廃止した背景には、ただの設備老朽化だけでは済まされない深い理由がありました。
時代とともに変化してきた価値観や、生徒たちのリアルな声がその判断を後押ししたのです。
ここからは、授業廃止の背景にあるジェンダーや心理的要因について詳しく見ていきます。
ジェンダー問題や羞恥心の声が増加
滝沢市が中学のプール授業を廃止した最大の理由は、生徒たちから寄せられる「見られたくない」「水着になるのが恥ずかしい」といった声の増加です。
NPO法人School Voice Projectの調査によれば、特に女子生徒から「生理中でなくても“生理だから”と嘘をついてプールを休む」「男女一緒の授業が苦痛」といった声が多く挙がっていたことが分かっています。
年配の教員の中にはそうした感覚を理解できず、男女混合での授業を強行するケースもあり、生徒の精神的な負担を強める要因になっていたようです。
最近では、女子だけでなく男子からも「肌を露出したくない」「水着姿を見られるのがイヤ」といった意見が出てきており、ジェンダーを超えた羞恥心や不安が浮き彫りになっています。
こうした声は年々増加しており、「もう無理に泳がせる時代ではないのでは?」という問題提起にもつながっているのです。
プール授業はかつて「命を守る教育」として重視されてきましたが、時代とともに“見えないストレス”の存在が教育現場の課題として現れてきたのかもしれませんね。
次は、プール授業を欠席する生徒の増加という、数字が示す現実について掘り下げていきます。
生徒の3割以上が授業を欠席していた現実
滝沢市でプール授業の廃止が決定されたもうひとつの大きな理由は、「欠席率の高さ」です。
ある大規模中学校のデータによると、2023年度の水泳授業で参加予定だった生徒のべ4392人のうち、なんと36%にあたる1602人がプール授業を欠席していたそうです。
この数字は、もはや授業として成立しないレベルですよね。
欠席理由はさまざまですが、単なる体調不良やアレルギーといった理由だけでなく、「水着になりたくない」「他人の目が気になる」「異性と同じ空間が苦痛」といった心理的な負担も大きく関わっていたといいます。
実際、学校側もこうした声を無視できなくなっており、「授業として形にならないなら見直すべき」という判断に至ったのも納得できます。
それに加え、教師側の負担や着替えの指導の難しさも、隠れた要因として重なっていたのかもしれません。
授業を実施しても半数近くが参加しないのであれば、生徒にとっても学校にとっても“無理に続ける意義”は見出しにくいですよね。
次は、こうした変化が小学校にも波及する可能性について詳しく見ていきます。
小学校にも波及する?今後の授業の変化に注目
滝沢市のような中学校でのプール授業廃止の動きが、今後どこまで広がるのか気になるところです。
特に小学校への影響については、保護者の関心も高まっていますよね。
ここからは、小学校の現状や今後の授業スタイルの変化について詳しく見ていきましょう。
小学校でのプール授業の今とこれから
現在のところ、小学校では中学校ほど明確にプール授業を廃止する動きは目立ってはいません。
しかし一部の自治体では、すでに小学校のプール授業についても見直しが始まっています。
背景としては、中学校と同様に「プール施設の老朽化」や「維持費の増加」といった設備面の課題に加え、「体を見られるのがイヤ」「水着になるのが恥ずかしい」といった低学年の児童からの声もじわじわと増えてきている点が挙げられます。
また、地域によっては気温の上昇により「熱中症のリスクが高い」という理由で、夏場の運動を控える方針をとる学校もあり、プール授業のタイミングや内容を柔軟に変更するケースが出てきています。
一方で、「小学校のうちに泳げるようになってほしい」という保護者のニーズも依然として根強く、完全な廃止までは至っていない状況です。
今後は、小学校でも水泳指導の在り方やプールに代わる授業の形が検討されていく可能性が高いですね。
次は、実際にプール授業をやめた場合に、どのような代替授業が行われているのかについてご紹介します。
小学校にも波及する?今後の授業の変化に注目
プールの代わりに行われる授業とは?
滝沢市ではプールの実技を廃止した代わりに、「水難事故を防ぐための知識」を学ぶ座学形式の授業が導入されています。
具体的には、「着衣泳(服を着たまま水に落ちた時の対処法)」や、「水辺での注意点」、「溺れている人を見つけた時の対応方法」などを中心に学ぶ内容です。
水に直接入らないからこそ、安全に学べるというメリットもありますね。
このスタイルは、実際に泳ぐことが苦手な子や、身体的・心理的な不安を抱える子にとって、負担が少なく取り組みやすいのが特徴です。
また、一部の自治体では、民間のスイミングスクールとの連携を進める動きもあり、「学校では指導しない代わりに、地域と協力して泳力を育てる」といった新しい形の取り組みも模索されています。
今後は、「水泳=学校の体育」という従来の常識を見直し、「命を守る力」をどう育てていくかが教育現場の課題になっていきそうですね。
次は、プール授業廃止においてもうひとつの理由とされている“熱中症リスク”について詳しく掘り下げます。
まとめ
今回の記事ではこんなことを書きました。以下に要点をまとめます。
- 中学のプール授業を実際に廃止したのは岩手県滝沢市
- 廃止の理由にはジェンダー問題や羞恥心への配慮がある
- 生徒の約36%が水泳の授業を欠席していたという現実がある
- 小学校でも同様の見直しが徐々に検討されつつある
- 廃止後は、水難事故対策の座学やスイミングスクールとの連携など代替の取り組みが進んでいる
この記事を通してわかるのは、学校のプール授業が“当たり前”ではなくなってきているということです。
時代とともに変わる価値観に合わせて、教育現場も柔軟に対応しているんですね。
今後、自分の子どもが通う学校でも同じような動きがあるかもしれません。
気になる方は、ぜひ一度、学校や教育委員会の方針をチェックしてみるのがおすすめです!