あいテレビの深夜バラエティ番組に出演していたフリーアナウンサーの女性が、セクハラ被害を理由にテレビ局を提訴しました。
問題となった番組で収録中に繰り返された性的発言がそのまま放送されたことが、今回の訴訟の引き金となりました。
この記事では、
- 被害女性が訴えた具体的なセクハラ内容
- 番組はどれ?
- あいテレビの対応と謝罪の有無
- なぜ2024年になって提訴したのか
などについて、分かりやすく解説しています。
「バラエティだから許される」とされてきた空気に一石を投じる今回の件。
この記事を読むことで、メディア業界における倫理や、視聴者としてどう向き合うべきかを考えるヒントになるはずです。
もくじ
あいテレビでセクハラ被害?フリーアナウンサーが提訴へ
あいテレビの番組収録中に繰り返されていたセクハラ発言が、ついに提訴という形で表面化しました。
被害を受けたのは、深夜番組「鶴ツル」に出演していたフリーアナウンサーの女性。
参照元:
https://www.nhk.or.jp/bunken/d/research/focus/BUNA0000010730090207/
提訴の背景や、番組内で起こっていた問題について詳しく見ていきます。
事件の概要と訴訟のきっかけ
被害を訴えたのは、2016年4月から2022年3月まで放送されていた深夜バラエティ番組「鶴ツル」に出演していたフリーアナウンサーの女性です。
番組収録中、他の出演者から繰り返し性的な発言を受けたことが問題の発端でした。
しかも、それらの発言が編集されることなくテレビでそのまま放送されたことで、女性は「人格権を侵害された」として、番組制作側であるあいテレビを東京地裁に提訴しました。
この問題が公に明らかになったのは、2024年6月6日のこと。提訴と同日に、代理人弁護士が東京都内で記者会見を開き、提訴の理由と経緯を公表しました。
番組の問題点は、ただのハラスメント行為だけでなく、それを「笑い」として放送したテレビ局の倫理観にもあるとされています。
この事件の詳細については、ライブドアニュースに掲載されています。
次は、被害女性が求めた損害賠償の金額とその背景を見ていきましょう。
求められた損害賠償とその背景
被害女性は、あいテレビに対して約4,100万円の損害賠償を求めています。
その理由として挙げられているのが、長年にわたる継続的なセクハラ発言による精神的苦痛、そして放送されたことによる社会的なダメージです。
参照元:
https://news.livedoor.com/article/detail/28909752/
女性はその影響で重度のうつ病を発症し、日常生活にも大きな支障が出ていると訴えています。
また、局側がセクハラを未然に防ぐ義務を果たしていなかったことも、今回の損害賠償請求の大きな根拠となっています。
制作サイドがその行為を助長、または黙認していた可能性があるため、単なる「発言」以上に重い責任が問われているのです。
被害者の心身への影響や、放送メディアが持つ社会的責任についても問われる今回の件。
問題の放送番組「鶴ツル」とは?出演内容や放送期間
提訴の舞台となった番組「鶴ツル」は、地方局あいテレビで6年間にわたって放送されていた深夜バラエティ番組です。
では、どんな内容の番組だったのか、そしてなぜセクハラが問題視されるような環境が生まれたのでしょうか。
番組「鶴ツル」の基本情報と放送フォーマット
「鶴ツル」は、あいテレビ(本社:松山市)が制作していたローカルの深夜バラエティ番組で、2016年4月から2022年3月までの6年間放送されていました。
番組内容としては、出演者たちがトークや企画コーナーを通じて笑いを取る構成で、地元密着型のエンタメ番組という位置づけでした。
被害女性であるフリーアナウンサーは、この番組にレギュラーとして出演していましたが、収録中に他の出演者から性的な内容の発言やネタを振られることが度々あったそうです。
こうしたやり取りが、「バラエティのノリ」として編集されることなくそのまま放送されていたため、結果的に放送倫理の観点からも問題視されることになりました。
次に、どんな発言が実際にセクハラとされたのか具体的に見ていきます。
どんな発言がセクハラとされたのか
女性アナウンサーが訴えた内容によると、出演者から「下着の色は?」「夜の営みはどう?」といった性的な質問や、身体を揶揄するような発言が複数回繰り返されたとのことです。
また、番組の流れとしても、それを笑いとして消化する空気が作られており、女性が違和感や不快感を示しても、そのリアクション自体を「面白がる演出」として使われていたといいます。
このようなやり取りが毎週のように行われ、それが6年間も続いたという事実が、被害女性にとって大きな精神的ダメージとなりました。
問題の背景にあるのは、「ローカル番組だから」「バラエティだから」という甘えによって、明らかなハラスメントが見過ごされていた構造かもしれません。
では、この問題に対して、あいテレビはどう対応したのでしょうか?
次は、提訴に至るまでの局側の反応や、なぜこのタイミングで訴えが起こされたのかを解説します。
提訴された理由とあいテレビの対応
セクハラ発言が番組内で繰り返されていたにもかかわらず、あいテレビ側はどのような対応をしていたのでしょうか。そして、なぜ被害女性は2024年になってから訴訟を決意したのか。その背景には、複雑な事情と、見逃されてきた構造的な問題がありました。
局側の対応と謝罪の有無
あいテレビは現時点で、被害者に対する正式な謝罪やコメントを公に出していないようです。
番組終了後も、関係者や番組サイドがセクハラ発言について再検証する様子は見られず、今回の提訴によって初めて問題が社会に認識される形になりました。
また、番組の収録においても、セクハラ発言が繰り返される中で、制作スタッフやディレクターが止める様子はなかったとされています。
つまり、番組全体が「それを面白がる空気」で動いており、セクハラを受けた側の感情や尊厳は軽視されていた可能性が高いということです。
被害女性の訴えによれば、「放送前に編集でカットされると信じていたが、オンエアされて初めて事の重大さに気づいた」とも語っており、その信頼を裏切った形になったのが、局への大きな失望につながったようです。
次は、なぜこのタイミングでの提訴に至ったのか、その理由を掘り下げていきます。
なぜ今、訴えを起こしたのか
最大の理由は、被害女性が重度のうつ病を発症し、長期間の療養を余儀なくされていたためです。
事件そのものは番組出演期間中に発生していましたが、精神的なダメージが大きく、すぐに声を上げることができなかったという背景があります。
また、女性は過去に放送倫理・番組向上機構(BPO)にも申し立てを行っており、2022年にはBPOが「人権侵害にはあたらない」との判断を下していました。
しかし、この判断に納得できなかった女性は、自らの言葉で真実を訴えるために、法的手段を選択したと見られます。
BPOの見解が必ずしも「問題がなかった」と意味するわけではないこと、そして社会の価値観が変化する中で「泣き寝入り」しない姿勢を貫いたことは、多くの人にとって大きなメッセージになっているのではないでしょうか。
今回の問題に対するSNS上の反応などは、以下のリンクから見ることができます👇
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まとめ
今回の記事ではこんなことを書きました。以下に要点をまとめます。
- あいテレビの深夜バラエティ番組「鶴ツル」で、フリーアナウンサーがセクハラ被害を受けたとし、4100万円の損害賠償を求めて提訴した
- 番組収録中に繰り返された性的発言が編集されずにそのまま放送されていた
- 女性は重度のうつ病を発症し、長期にわたって精神的苦痛を受けていた
- 番組制作側や局は放送時にセクハラ行為を止めず、倫理的な対応にも問題があった
- 放送倫理機構(BPO)は人権侵害と認めなかったが、女性は納得できず法的手段を選んだ
この事件を通じて、バラエティ番組におけるハラスメントの「笑いとしての消費」がどれほど深刻な問題を引き起こすかが浮き彫りになりました。
「テレビだから許される」では済まされない時代です。
視聴者も制作者も、当たり前の感覚を見直すタイミングが来ているのかもしれません。